社会人3年目、50人くらいが集まる交流会に行きました。会場に着いて15分後、6人の輪の、半歩そとに立っていました。手にはウーロン茶。
一度は入れています。輪が半歩ぶん広がって、7人になりました。名前を言って、仕事を言って、うなずきます。そこから5分後、話の中心は向かい側の3人へ移り、こちらの側は聞くだけの列になっていました。入れなかったのではなく、入ったあとに外へ出ていました。
Coelia代表の小幡十矛です。その日は、話し方が足りないからだと思って帰りました。そこではありませんでした。
Coelia代表・小幡十矛が、なぜCoeliaを作ったのかを書いています。なぜCoeliaを作ったのか
50人の会と6人の会で、持ち帰った名前は同じ2つでした
その50人の会にいたのは2時間。話した相手は2人でした。翌月、知り合いに誘われて行った6人の食事会も、話した相手は2人です。
会場にいた人の数は8倍ちがうのに、持ち帰った名前は同じ2つでした。
このとき、人数の多い会を選べば知り合いが増える、という計算が崩れた。多い会で増えたのは、名前ではなく、立っている時間のほうです。
入るタイミングを練習していたころ、増えたのは待つ時間でした
しばらくは、入り方を練習していました。話の切れ目を待ちます。うなずいて存在を知らせます。飲み物を取りに行くふりをして会場を1周し、入りやすそうな輪を探す。
2周目に入るころ、会場でいちばん顔なじみになっていたのはドリンクカウンターの店員でした。切れ目は待っていても来ません。来たと思って口を開くと、同じ瞬間に別の人が話し始めます。
ここでやめました。増えていたのは入った回数ではありません。ただ待つ時間だけが伸びていました。
輪に入れなかったのではなく、入ったあとに輪のほうが割れていました
思い出すと、あの7人の輪はそのあと2つに割れています。向かい側の3人と、こちら側の3人と、どちらにも属さない1人。その1人が自分でした。
人数が増えても、声の届く範囲と、話し手の顔が見える範囲は広がりません。むしろ、人が増えるほど周りは騒がしくなります。だから大きくなった輪は、数分で小さい2つへ戻ります。戻るときに、い、いちばんあとから来た人が割れ目に残ります。
この記事では、放っておくと4人前後で割れて固まる輪を割れる輪、進行のほうが定期的に組み替える輪を組み替わる輪と呼びます。グループが固定化しやすい飲み会では、入り直す仕事が1晩に何度も出てきました。
要るのは輪に入る技術ではなく、割れたあとの入り直しを誰がやるのかという話でした。
会話が4人で割れるのは、声と視界の側で説明されています
自分の言い訳かどうか確かめたくて、調べました。1995年に学術誌『Human Nature』へ載った観察研究(Size and structure of freely forming conversational groups・Dunbar、Duncan、Nettle)は、大学の食堂で1991年からの12か月に388件、1992年からの3か月に414件、さらに1993年に避難訓練で待つ人の集まりと約200人が集まった夜のレセプションで255件、合わせて1,057件の会話のまとまりを数えています。
| 1つの会話の人数 | 全体に占める割合 |
|---|---|
| 2人 | 53.9% |
| 3人 | 26.9% |
| 4人 | 13.5% |
| 5人 | 4.7% |
| 6人以上 | 1.0% |
約95%が4人以下です。そして、その場にいる集団が大きくなっても、1つの会話の人数は3人台で頭打ちになります。代わりに、会話の数が増えていきます。10人が集まった場所では、大きな輪が1つできるのではなく、小さい輪が3つできます。
研究者が書いている理由も、性格の話ではありません。周りが騒がしいほど声が届かなくなること、話し手の顔が見えないと次に話す順番がつかめなくなること。この2つです。論文には、6人から9人の集まりでは一度だけ大きい輪を保とうとする動きが見られ、結局4人以下へ落ち着くと書いてあります。あの日、7人になった輪が5分もたなかったのは、そういうことでした。
この研究で言えないことも、同じ場所に書いておきます。観察されたのは1990年代のイギリスの大学と博物館で、日本の交流会を測ったものではありません。測っているのは人数の分布までで、誰が楽しかったか、誰と親しくなったかは調べていません。持ち帰れるのは「大きい輪は割れる」という形の話だけです。
割れたあとに組み替える仕事を、参加する側がやらなくていいか
輪が割れるところまでが分かると、見るところが変わります。割れるのはどの会でも同じで、違うのは、そのあと誰が組み替えるかです。バスで席を詰めてもらったときのすきまと同じで、広がった側は次の停留所までしかもちません。
| 見るところ | 参加者に任せる集まり | イベント側が主導する集まり |
|---|---|---|
| 会のはじまり方 | 着いた人から自由に歓談 | その日やることが決まっていて、全員で始まります |
| 立ち位置が変わるきっかけ | 自分で移動します | 順番・チーム分け・活動そのもので入れ替わります |
| 割れ目に立ったとき | 自力で次の輪を探す | 運営が同席していて、その場で言えます |
| 1晩に必要な行動の数 | 入り直すたびに1つずつ増えます | 最初の1回で足りることがあります |
左の列が悪い、という話ではありません。すでに知り合いがいる会なら、自分で移動するほうが早いこともあります。ただ、ひとりで、はじめて行く日に選ぶなら右の列です。その日に出す行動の数が減る。
人数そのものの選び方は別の記事に書きました(少人数の交流会だと全員と話せるのはなぜ?人数と回し方で決まる当日の会話量)。着いてからの最初の20分をどう置くかは、こちらが近いはずです(交流会で浮くかは、話した量では決まりません)。
いまでも、大人数の立食では端にいます
大きな立食のパーティーへ行くと、いまでも壁ぎわにいます。話しかけるのが速くなったわけでも、間の取り方がうまくなったわけでもありません。
欲しかったのは、どんな輪にも入っていける自分でした。手に入ったのは少し違って、入り直す仕事が自分の担当ではない日です。ダーツの順番が回ってくれば立ち位置は勝手に変わりますし、次に投げる人と自然と隣になります。
変えたのは話し方ではなく、割れたあとを誰が引き受ける場所にいるかでした。
次に読む記事
交流会で輪に入れないと感じるとき、先に押さえる3点
「交流会 輪に入れない」「飲み会 輪に入れない」で検索してきた場合、止まるのは話しかける勇気より、大きな輪が割れたあとを自分で引き受けていることが多いです。ここまで読む前に、見方の型だけ先にまとめます。
- 重い理由:1つの会話は4人で割れ、あとから来た人が割れ目に残る
- 置き換え:勇気より、輪が割れたあとを誰が組み替える場か
- 具体案:本文の軸で、気になる回の告知文を1つだけ見る(登録不要)
申し込む前に運営へ聞く項目は交流会の参加前に聞いておくことにまとめています。
よくある質問
交流会で輪に入れないのは、自分だけですか?
自分だけではありません。1つの会話に加われる人数には上限があって、観察研究では約95%が4人以下でした。大きくなった輪は割れます。割れ目に残りやすいのは、あとから来た人。
大人数の会と少人数の会、どちらを選べばいいですか?
ひとりで、はじめて行く日なら少人数のほうが行動が減りました。ただ、人数より先に見るところがあります。輪が割れたあとに組み替えるのが自分か、場のほうか。
話しかけるタイミングが分かりません。
タイミングを待つ側に回ると、待っている時間だけが増えました。その日やることが先に決まっている会を選ぶと、順番や活動のほうが立ち位置を動かしてくれるので、切れ目を待たなくて済みます。
ひとりで行っても浮きませんか?
ひとりでの参加を歓迎しています。20代限定で、運営が同席する会です。輪に入りづらいときは、その場で運営へ一言。
途中で話が途切れたら、どうすればいいですか?
途切れるのは普通のことでした。1つの会話は数分で組み替わるので、切れた瞬間は失敗ではなく区切りです。次の順番が回ってくるまで、聞いているだけの時間があっても構いません。
お酒が入る会が苦手です。
お酒のない回もあります。ダーツやボウリング、PCを持ち寄る作業会は、飲むことが中心ではありません。選ぶ基準は同じで、その日にやることが決まっているかどうか。




