飲み会の誘い方でいちばん効くのは、断られない言い方を探すことではなく、相手が断りやすい形にすることです! 候補の日を3つ添えて、「合わなければまた別の週で」と一言置く。それだけで、誘いは相手が判断できる相談に変わります。日程を出さない「今度ごはんでも」は、断る対象そのものが無いので返事が返ってきません。実際に誘い文を試す機会として、9月の企画飲みのように候補日が先に出ている交流会もあります。
Coelia代表・小幡十矛が、なぜCoeliaを作ったのかを書いています。なぜCoeliaを作ったのか
そのままコピーして送れる3つの文面
どれもLINEやDMを一通で送りきる用です。差し替えるのは◯◯(相手の呼び方)と△△(一緒にやりたいこと・話したいこと)、それに曜日の3つだけです。
1本目は相手を選ばない基本形。誰に送るか決まっていないときは、ここから始めてください。
◯◯さん、来週ごはんどうですか。 火・木・土なら空いています。 △△の話、ゆっくり聞きたくて。 合わなければ、また別の週で誘わせてください。
2本目は、同じ職場の人へ。評価や業務の延長ではないと先に伝わる形にしてあります。
◯◯さん、お疲れさまです! 今度ごはん行きませんか。来週なら水・金、再来週なら火が空いています。 △△の話でも、全然ちがう話でも。 合わなければまた別の週で誘わせてください。
3本目は、イベントや交流会で一度話した人へ。日付より先に「何をする会か」を置くのがこの相手のコツです。
◯◯さん、先日はありがとうございました! 話していた△△、よかったら一緒に行きませんか。 来週の火・木・土あたりで空いている日ありますか? 合わなければ、またタイミング見て声かけますね。
どれも骨組みは同じです。候補日を3つ+「また別の週で」の逃げ道。この2つが入っていれば、言葉づかいは自分の普段のトーンに直して大丈夫です! ここから先は、なぜこの2つなのかを見ていきます。
候補日3つと逃げ道の一文が、返事を分けています
誘いの返事を決めるのは熱量ではなく、相手が判断できる材料が渡っているかどうかです。誘いは相手にとって、自分の休日をひとつ明け渡すかどうかの判断です。だから判断に要るものが揃っていないと、気持ちの強さとは関係なく返事が止まります!
日程の出し方は5パターンあり、返事の返りやすさはそれぞれはっきり違います! Coeliaは東京で20代限定のイベントを続けて開催していて、開催のたびに「人を集める側」に立っています。その運営の中で置いている見立てが、次の表です。計測して出した数字ではなく、現場での見立てとしてお読みください。
| 誘い方 | 受け取った人が最初にすること | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 日程なし(「今度ごはんでも」) | 社交辞令かどうかを見分けます。見分けがつかないので「ぜひ」で終わります | × |
| 候補日を1つ | その日が空いているかだけを確認します。埋まっていたら会話がそこで止まります | △ |
| 候補日を2つ | どちらかを選びます。両方埋まっていると、1つ出したときと同じ状態に戻ります | ◯ |
| 候補日を3つ | 自分の予定と照らして選びます。全部だめでも「この週は難しくて」と返しやすい | ◎ |
| 候補日を5つ以上 | 「どれかは空いているはず」と受け取り、断る理由を探しはじめます | ※ |
凡例:◎=強くおすすめ/◯=おすすめ/△=あまりおすすめしない/※=相手との関係次第/×=おすすめしない
日程なしは断る対象が無いので、やりとりは温かいのに前へ進みません。1つだけは断りやすい反面、「この人はここしか空いていないのかな」と伝わって、相手から次の日を出しづらくなります。2つは口頭やその場の相談なら十分で、そこから往復できるぶん不足を埋められます。3つは、断る余地がありながら圧も立たない位置で、文章一通で完結させたいときの基本形です!5つ以上は選択肢というより「断れなくする形」に近づくので、相手との距離によっては重く届く。
3つがちょうどいい理由は、多いからではありません。選べる幅がありつつ、選ばない自由も残っているからです!
同じ気持ちから出た誘いを、2通り並べてみます
| 見るところ | 断られないように書いた誘い | 断りやすく書いた誘い |
|---|---|---|
| 文面 | 「今度ごはん行きましょう!いつでも空いてるので合わせます」 | 「来週ごはんどうですか。火・木・土なら空いています。合わなければ、また別の週で誘わせてください」 |
| 受け取った人が最初にすること | 社交辞令かどうかを見分けます | 3つの日を自分の予定と照らします |
| 返ってくるもの | 「いいですね、ぜひ」(日程は決まらない) | 日程か、断りの一言 |
| 断ったあとに残るもの | 気まずさ(断ったつもりも無いのに宙に浮く) | 次に誘っていい空気 |
| もう一度誘えるか | 同じ文面をまた送るのは気が引けます | 「また別の週で」と自分で書いてあるので送りやすい |
右の列でいちばん働いているのは、最後の「合わなければ、また別の週で誘わせてください」の一文です。この一文があると、相手は断りの言葉を自分で考えなくてよくなります! 断る文面を考えるのは、誘う文面を考えるのと同じくらい気力を使う作業です。そこを先にこちらで引き受けておくと、返事は驚くほど軽く返ってきます。
もうひとつ、この一文は自分のためにも働く。「また別の週で」と書いた時点で、次に誘う権利を自分で確保していることになるからです。1回で決めようとしなくてよくなるので、送信ボタンがぐっと軽くなります。
そして、断る余地を残すことは弱気ではなく配慮です。人は誰でも、「誘われたい気持ち」と「立ち入られたくない気持ち」を同時に持っています。両方が立つ入り口を用意しておくと、選べる状態で来てくれた人とは、その日の時間がまるごと気持ちよく進みます!
「断りやすくしたら、断られるだけでは?」への答え
いちばん自然な反論に、先に答えておきます。断りやすくすれば、断られる回数は増えます。それでもこの形をおすすめするのは、断られない誘いは、YESもNOも返ってこないからです。
やりとりの結果は3つに分かれます! 日程が決まるか、断りが返るか、何も返らないか。このうち関係が止まってしまうのは3つ目だけです。断りが返ってきた誘いは、「今回はこの週が難しかった」という情報が残り、次に誘う日を選び直せます。何も返らなかった誘いは、次に何を変えればいいのかさえ分かりません。
つまり比べるべきは、1回の誘いが通ったかどうかではありません。誘い続けられる形になっているかです! 断りやすい誘いは、断られても関係を削らないので、2回目・3回目が自然に出せます。ここが、断りやすさをおすすめするいちばんの理由です。
相手と場面で、変えるところ
まだ1回しか話していない相手には、日程より先に「何をする会か」を渡す。相手が知りたいのは日付ではなく、どんな時間になるのかだからです。「この前話してたお店、行ってみませんか」のように中身を先に置くと、そのあとの日程がぐっと受け取りやすいです!
大人数のグループLINEでは、候補日3つは宙に浮く。全員に向けた誘いは「自分が答えなくても誰かが答える」が働くので、返事が返らないまま流れます。この場合は日程よりも先に、名前を呼んで一人に渡すほうが動きます!
相手の繁忙期には、幅を週から月へ移します。3つ出して全部だめだったときは、誘い方の問題ではなく単純に予定の問題です。「来月のどこかで」と幅を広げるだけで話が戻ってきます。
立場が上の人からの誘いは、相手にとって断りにくさが増します。先輩や上司の側から誘うときは、候補日と一緒に「無理そうなら全然大丈夫です」を明るく添えて、断る側の負担をさらに軽くしておくと安心です! 逆に目上の人を誘うときは、日程より先に「ぜひ一度ごちそうさせてください」ではなく「お話を聞いてみたくて」と目的を渡すほうが受け取りやすくなります。
お酒が飲めない相手・飲まない相手には、「飲み会」の看板を外します。「ごはん行きませんか」「カフェでもいいので」と選択肢を添えるだけで、相手は自分の飲む・飲まないを説明せずに済みます。誘いの目的は一緒に過ごす時間であって、お酒ではありません。
そして、誘うことにもともと抵抗が無い人には、ここまでの話はまるごと不要です。この形は「誘いたいのに手が止まる」状態の人に向けて書いています。
誘ったあとのことも気になったら、飲み会マナーの基本と交流会で会話が自然に続くコツにまとめてあります。
文面より前のところ、つまり誘える相手がまだ少ないのが本当の詰まりなら、直すのは言い方ではなく人と会う回数のほうです(友達がいない社会人は普通?にその話を書いています)。日程も場所も決まっているイベントに月に1回でも顔を出すと、誘う相手そのものが増えます!Coeliaのイベント一覧をのぞいてみてください。
よくある質問
何人くらいまとめて誘うのがいいですか?
まず1人に、名前を書いて送るのがおすすめです! 複数人へ同じ文面を一斉に送ると、「自分が答えなくてもいい」が働いて全員の返事が遅くなります。1人に決まってから「もう一人誘っていい?」と広げるほうが、結果的に早く集まります。
一度断られた相手を、また誘っていいですか?
まず見るのは相手の反応です。断りの返事が短い・軽いままなら、こちらから引くのがいちばんの配慮です! そのうえで、「今回はこの週が難しかった」のような具体的な返事だった場合は、日を変えて1回だけ出し直してみてください。断りの返事には「その日が難しい」だけの場合もあります。回数を先に決めておくと、自分の気持ちもラクになります。
LINEで誘うのと、その場で口頭で誘うのは、どちらがいいですか?
その場なら2つ、LINEなど文章一通で完結させるなら3つ、と使い分けるのがおすすめです! 口頭はその場で往復できるので、候補が少なくても足りない分をすぐ埋められます。文章は往復に時間がかかるぶん、最初の一通で選べる幅を渡しておくほうが早く決まります。
候補日はどのくらい先の日程を出すといいですか?
1〜2週間先が目安です! 近すぎると相手の予定がもう埋まっていて、遠すぎると「まだ分からない」で止まります。「来週と再来週」の中から3つ選ぶと、相手が自分の予定と照らしやすい距離になります。
職場の人を誘っても大丈夫ですか?
大丈夫です! その場合は「何の時間か」を先に添えると受け取りやすくなります。「仕事の話でも、全然ちがう話でも」と一言置くだけで、評価や業務の延長ではないと伝わるものです。立場が上の人を誘うときは、日程より先に「お話を聞いてみたくて」と目的を渡すほうが受け取ってもらえます。逆に自分が上の立場から誘うときは、候補日と一緒に「無理そうなら全然大丈夫です」を明るく添えてください。
断られたあとは、どう返すといいですか?
「了解です! またタイミング合うときに」の一言で十分です。理由を聞き返したり、すぐ別の日を重ねて出したりしないのがコツです! 軽く受け取ってそこで終えると、相手の中に「次も断りやすい=次も誘われていい」空気が残ります。
怖いのは断られることではなく、何も返ってこないこと。だから、断りやすくする。




