21時半、会社の飲み会で、スマホを見るふりをして時計を見ていました。明日は朝から予定があるので、そろそろ出たい。なのに「帰ります」を言い出すタイミングを、30分探し続けています。話は楽しいのに、頭の半分は退出のことを考えています。結局その日に店を出たのは、終電の少し前でした。数年前の僕が、会社の飲み会でも、社外の交流会でも、だいたいやっていたことです。
帰り道に検索していたのは「飲み会 途中で帰る 言い方」でした。角が立たない口実、感じの悪くならない切り出し方。探していた理由もはっきりしています。途中で帰る人だと思われたくありませんでしたから。最後までいてこそ参加で、途中で抜けるのは中途半端だと思っていました。
こんにちは。Coelia代表の小幡十矛です。いまはイベントを主催して、先に帰る人を見送る側にいます。この記事で渡す例文はふたつだけです。「今日は◯時に出ます」と「また来ます」。うまい言い方はこれで全部でした。ただし、言うタイミングが、僕が思っていた場所と違いました。
Coelia代表・小幡十矛が、なぜCoeliaを作ったのかを書いています。なぜCoeliaを作ったのか
言い出すタイミングを探して、最後までいました
当時、試したことはいくつかあります。まず、口実を用意して行きました。「このあと用事があって」。その場は切り抜けられるのですが、次に会ったとき「あの用事、どうだった?」と聞かれます。作った予定の続きを、また作ることになりました。これはやめた。
次に、切り出すのをやめて、会が自然に終わるまで残るようにしました。言い出す気まずさは消えますが、翌日が削れます。朝の予定に間に合わせるために睡眠を削った日は、翌朝がつらくなりました。
最後に行き着いたのが、最後までいられる日しか行きませんという決め方です。気まずさも寝不足も起きません。そのかわり、行ける日が減っていきました。楽しみにしていた誘いも、翌朝の予定と天秤にかけて迷うようになりました。参加は最初から最後までいて1人前で、短い参加は中途半端だと思っていたからです。
見送る側に回ったら、困るのは先に帰る人ではありませんでした
Coeliaを始めて、見送る側に回りました。受付のときに「今日は21時に出ます」と先に言ってくれる人がいます。運営としては、その時刻を頭に入れて進行を組めるので、むしろ助かります。帰り際は「また来ます」のひとことで終わりで、その場の誰も手を止めません。
逆に、困った記憶があるのは、気づいたらいなくなっていた人のほうです。体調が悪かったのか、何かあったのか、連絡してよいものかを、残った側が考えることになります。先に帰ることは、問題ではありません。一番気まずくなるのは、黙って消えることです。見送る側に回るまで、この順番を逆に覚えていました。言えないまま帰った日があっても、あとからLINEでひとことあれば足ります。
そして、先に帰った人を「中途半端な参加だった」と思ったことは、一度もありません。2時間いた人と最後までいた人を、時間で並べて覚えてもいません。
参加を時間の長さで測っていたのは、参加していた頃の自分だけでした。
もうひとつ、見送る側になって気づいたことがあります。ほとんどの案内には、帰り方が書いていません。始まる時刻は書いてあるのに、途中で出るときにどうすればいいかは、どこにも書いていません。その書かれていない1行を、参加する側が言い方の工夫で埋めていました。
読む人がやることは1つだけ
帰る直前の切り出し方を考えるのをやめると、残る作業は1つになります。
- 着いたときに「今日は◯時に出ます」と言う:言う相手は、会を仕切っている人です。交流会なら受付や運営、会社の飲み会なら幹事。そのまま使うなら「すみません、今日は◯時に出るので先に言っておきますね」。理由は付けなくて構いません。理由を付けると口実になり、口実は管理が要ります。
- 行くかどうかを「最後までいられるか」で決めない:2時間だけ行ける日は、2時間の参加として成立します。退出時刻を先に伝えてあれば、短い参加が進行の妨げになることはありません。
| 場面 | 言う言葉 |
|---|---|
| 着いたとき(仕切っている人に) | 「今日は◯時に出ます」 |
| 帰るとき | 「また来ます」 |
かわりに、やらなくていいことが3つあります。角の立たない口実を検索すること(帰る直前に切り出すから言い方の問題になります)。会が自然に終わるまで残ること(翌日が削れて、行ったこと自体の後悔に変わります)。最後までいられる日だけ参加すること(行ける回数そのものが減る、いちばん失うものが大きいやり方です)。
Coeliaは東京で20代限定のイベントを開いています。先に帰るときの扱いは、イベントごとのページの「当日、運営がやること」に書いていて、多くの回は途中で帰りたいときは、LINEでひとことだけで大丈夫という形です。回によって形式が違うので、イベント一覧からイベントごとのページで確認してください。
会社の飲み会には受付が無い。言う相手は幹事。
交流会と違って、会社の飲み会には受付はありません。それでも順番は同じで、帰る直前ではなく、始まる前に言います。言う相手は幹事です。店へ向かう道や着席の前に「すみません、今日は◯時に出るので先に言っておきますね」とだけ伝えます。幹事は席順や注文を組む係なので、先に分かっているほうが動きやすくなります。
職場の慣習はそれぞれなので、この形のまま通るとは言い切れません。それでも、帰る直前に全員の視線の中で立ち上がって切り出すひとことと、始まる前に幹事へ渡すひとことなら、後のほうが短くて済みます。僕が終電まで探し続けていたのは、前のほうの言い方でした。
途中で帰りたい夜があるのは、自分だけかを調査で確かめた
ここからは、あの30分が僕ひとりの事情ではありませんでした、という裏づけです。先に結論を書くと、嫌がられているのは会話ではなく、気を遣いながら抜けられない時間のほうですでした。日本生命「勤労感謝の日」に関するアンケート調査は、2023年10月2日から11日に実施され、10,408名が回答したものです。
| 設問 | 全体 | 20代以下 |
|---|---|---|
| 職場での対面コミュニケーションは必要 | 88.1% | 88.6% |
| 飲みニケーションがある職場で働きたくありません | 67.4% | 59.3% |
職場で直接話すこと自体は、9割近くが必要だと答えています。それなのに、お酒の席が不要だと答えた人の理由でいちばん多いのは「気を遣うから」(19.8%)で、「拘束時間が長いから」も13.0%挙がっています。この調査は職場の飲み会について聞いたもので、交流会やイベントの話ではありません。それでも、時計を見ながら座っていたのが少数派の悩みではないと言うには足ります。
探していたのは言い方だったのに、増えたのは行ける回数でした
検索していたのは切り出し方でした。手に入ったのは、行くかどうかを軽く決められる基準のほうです。最後までいられるかを考えるのをやめて、着いたときに退出時刻を言う。それだけで、「2時間だけ行ける日」が行ける日に変わる。
楽しい時間の途中で帰るのは、思っていたほど惜しくありませんでした。「また来ます」と言って出る帰り道は、口実を抱えたまま残っていた夜より、ずっと軽いです。
この記事の次に読むと決めやすいもの
よくある質問
飲み会を途中で帰るのは失礼ですか?
先に伝えてあれば失礼にはなりません。イベントを主催して見送る側にいた経験では、困るのは先に帰る人ではありません。黙っていなくなられることです。着いたときに退出時刻を伝えておけば、進行の側で調整できます。
角の立たない言い方はありますか?
帰る直前ではなく、着いたときに「今日は◯時に出ます」と伝える形にすると、言い方を工夫する必要が無くなります。理由は付けなくて構いません。帰るときは「また来ます」のひとことで足ります。
会社の飲み会でも同じやり方でよいですか?
職場によって慣習が違うので、この記事のまま通るとは言い切れません。それでも、店へ向かう道や着席の前に、幹事へ「今日は◯時に出るので先に言っておきますね」と伝えておくと、席順や注文で配慮してもらいやすくなります。帰る直前に切り出すより、先に伝えるほうが調整はしやすくなります。
Coeliaのイベントは途中で帰れますか?
回によって形式が違います。先に帰るときの扱いは各イベントページの「当日、運営がやること」に書いていて、多くの回はLINEでひとことだけで大丈夫です。気になる回は申し込む前に公式LINEのトーク画面から聞くこともできます。
最後までいられない日は、参加しないほうがよいですか?
参加できます。退出時刻を先に伝えてあれば、短い時間の参加が進行の妨げになることはありません。最後までいられる日を待つより、行ける時間で行くほうが、行ける日の候補は増えます。




