日曜の夜、ブラウザのタブが4つ開いたままでした。どれも来週末の交流会の申し込みページです。前の週も、その前の週も、同じ時間に同じことをしていました。開いているのは毎回ちがう会で、同じ会をもう一度開いたことは一度もありませんでした。
こんにちは。Coelia代表の小幡十矛です。2021年に石川県から東京へ出てきて、会社の外の人と会いはじめたのは社会人3年目でした。いまCoeliaのトップページで公開しているように、東京で20代が集まる会を運営しているが、当時は行き先を増やすことが、会社外の人と会うやり方だと思っていました。増やしても増えなかった側の話を書く。
Coelia代表・小幡十矛が、なぜCoeliaを作ったのかを書いています。なぜCoeliaを作ったのか
休みのたびにちがう会へ申し込んで、はじめましてだけが積み上がっていました
3年目に動きはじめた頃の選び方は単純でした。イベントの一覧を開いて、日程が空いていて、内容が面白そうで、行ったことがない会を選びます。行ったことがありません、が条件に入っていたことに、しばらく気づいていませんでした。同じ会をもう一度選ぶという選択肢が、そもそも候補の並びに出てきませんでした。
会そのものは悪くありませんでした。その日のうちに何人かと話せて、笑って、帰りの駅で連絡先が1つ2つ増えています。帰り道の気分も悪くありません。ただ、次の週にはまた別の会のページを開いていました。増えた連絡先には、次に会う日が入っていないままでした。交換そのものを急いでも続かないことは、あとから連絡先の交換を急がなくなった話として別に書いてあります。
そのうえで、誰にも言っていなかったことがありました。毎回ちがう場所を選ぶのは、そのほうが効率がいいからだと自分では説明していました。実際は、一度きりの相手なら、うまくいかなかった日をなかったことにできますからでした。輪の外で飲み物を持って立っていた日があっても、次の週には全員がはじめましての相手に入れ替わります。持ち越さずに済む状態を、自分で選び続けていたことになります。
合わなかったと思っていた会へ、もう一度だけ行きました
そのやり方を半年ほど続けて、行った会の数だけが増えた。名前を思い出せる人は、そのわりに増えていません。数を増やす方向では近づいていないことは、さすがに分かってきました。
それで一度だけ、逆をやりました。前に行って、特別に盛り上がったわけでもない会へ、翌月もう一度申し込みました。合わなかったから行きません、と判断していた会ではありません。判断するほどの手応えが無かった会です。
二度目の会場で起きたことは、いま思えば当たり前です。前の回にいた人が2人いて、そのうちの1人が「前回もいましたよね」と声をかけてきました。それだけで、その日の自分の一言目が要らなくなりました。自己紹介からではなく、前回の続きから始まりました。三度目に行ったときには、こちらから同じことを言う側に回っていました。
このとき、行く会の数は減っています。増えていたのは、同じ顔と会った回数のほうでした。
足りなかったのは行った場所の数ではなく、同じ相手と積んだ時間でした
分かってしまえば単純な話でした。はじめての人だけが集まる回では、その場の全員が同時に一巡目をやっています。名前を言い、仕事を言い、来たきっかけを言う。前回の続きから始められる相手が、その場に構造として1人もいません。何回通っても、積み上がるのは一巡目だけです。
変わっていたのは会の種類でも、その日の会話の出来でもありませんでした。同じ相手と一緒に過ごした時間が、合計で何時間になったかのほうです。1回の会が2時間なら、2回で4時間にしかなりません。行き先を毎回変えると、この合計はいつまでも2時間で止まります。
選び直せる状態を保っているあいだは、どこも自分の場所になりません。
回数を積む前に、そもそも誘っていい相手かで止まっているなら、そちらが先です。相手が自分を友達だと思っているか確かめられずに送れなかった話は友達だと思ってたのは自分だけかもしれない、で止まっていたときに書きました。
これが自分だけの話なら、ただの昔話
同じことを数えた研究がありました。カンザス大学のジェフリー・ホール氏がJournal of Social and Personal Relationships(2019年)で報告したもので、直近6か月以内に転居した成人355人と、大学の新入生112人を対象に、知り合いから友人になるまでにどれだけ時間がかかるかを調べています。目安は、軽い友人まで約50時間、友人まで約90時間、親しい友人までは200時間超でした。
この研究には、もう1つ書いてあることがあります。職場で一緒に働いていた時間は、同じようには積み上がりません。積み上がるのは、一緒に遊んだり、雑談したり、同じことをして過ごした時間のほうです。会社の中で毎日顔を合わせているのに社外のつながりが増えないのは、時間が足りないからではなく、積み上がる種類の時間になっていないからだと読めます。
| 段階 | 同じ相手と過ごした時間の目安 | 2時間の会に置き換えると |
|---|---|---|
| 軽い友人 | 約50時間 | 約25回 |
| 友人 | 約90時間 | 約45回 |
| 親しい友人 | 200時間超 | 100回超 |
この表の右の列は、読むための割り算です。研究が回数を示したわけではありません。対象も米国の転居者と大学新入生で、日本の20代社会人にそのまま当てはまるかは分かっていません。論文の本文は出版社のページが開けず、数字は大学の公式発表で確認した範囲までです。それでも、合計時間で決まりますという向きだけは、こちらの経験と食い違いませんでした。
もう1つ、日本側の数字も置いておきます。クロス・マーケティングの「人間関係に関する調査(2025年)」(全国20〜79歳2,400人・2025年1月実施)では、友人がいる人は67%で平均7.0人、親友がいる人は45%で平均2.6人でした。20代だけの内訳は公表されていません。数としては、そもそも多くありません。増やす人数を目標にするより、同じ相手と続けて会える進み方を決めるほうが、手が動く。
戻れる回かどうかは、申し込む前の案内で分かります
二度目に行ける会かどうかは、当日ではなく案内で決まっています。見るところは3つで、どれも申し込みボタンを押す前に読めます。
| 見るところ | 一度きりで終わりやすい回 | 二度目に行ける回 |
|---|---|---|
| 次の開催 | 次がいつかは書かれておらず、終わってから告知されます | 同じ枠で続けて開いていて、次の日程が先に出ています |
| 進行 | 自由に話す時間だけで、始まり方は参加した人まかせ | 運営が入り、最初の一言をイベント側で用意しています |
| 二度目の立ち位置 | 常連と初回の区別がつき、入る順番が固定されています | 毎回はじめての人が混ざり、始まり方はどちらも同じ |
Coeliaでこの3つをどう置いているかも書いておきます。毎月おなじ枠で開く定番の回があり、食事会やエンジニア・クリエイターの交流会は同じ会に続けて申し込めます。運営は全ての回に入って橋渡しをします。はじめましてカードや話題サイコロのように、最初の一言はイベント側で用意されているので、二度目でも三度目でも始まり方は変わりません。20代限定で、ひとり参加の人が多い回です。
言い換えると、二度目に必要なのは勇気ではなく、次の日程が先に決まっていることでした。当時の自分に足りなかったのはそこで、性格でも話し方でもありません。
増えたのは、友達の人数ではありませんでした
同じ会へ戻るようにしてから、名前で呼び合える相手が増えた。休みの日に「来月もいますか」と聞ける相手ができて、予定を1つずつ入れられるようになっています。社会人になってからでも、そこは動いました。
そのうえで、正直に書いておきます。友達が何人になったかは数えていません。数えていたときは増えず、数えるのをやめた頃に増えていました。手に入ったのは人数ではなく、戻れる回を1つ持っておきますという予定の入れ方のほうです。行き先を探す時間が減って、そのぶん同じ人と過ごす時間に回りました。
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よくある質問
社会人になってから友達を作るには、どこへ行けばよいですか?
行き先の種類より先に、同じ場所へ二度目に行けるかどうかを見ます。知り合いが友人になるまでには同じ相手と過ごした時間の合計が要り、カンザス大学の研究では軽い友人まで約50時間、友人まで約90時間が目安でした。毎回ちがう会へ行くと一巡目だけが積み上がるので、続けて開いている回を1つ選ぶほうが早い。
交流会に行っても一度きりで終わってしまうのはなぜですか?
そのイベントにいた人と、次に会う場所が決まっていないためです。はじめての人だけが集まる回では、前回の続きから始められる相手がその場にいません。連絡先を交換しても、次の予定が無ければ一巡目のまま終わります。同じ枠で続けて開いている回なら、次に行く日そのものが次に会う理由になります。
同じ場所に通うと、輪ができていて入りにくくなりませんか?
進行を運営が持っている回なら、入る順番は毎回つくり直されます。Coeliaは運営が全ての回に入って橋渡しをし、はじめましてカードや話題サイコロのように最初の一言を場の側が用意しています。自分から輪へ割って入る必要がないので、二度目でも三度目でも始まり方は同じです。
友達は何人くらいいるのが普通ですか?
クロス・マーケティング「人間関係に関する調査(2025年)」(全国20〜79歳2,400人)では、友人がいる人は67%で平均7.0人、親友がいる人は45%で平均2.6人でした。数としては多くありません。増やす人数を決めるより、同じ相手と続けて会える進み方を選ぶほうが手が動く。
Coeliaに二度目から参加しても大丈夫ですか?
大丈夫です。20代限定で、ひとり参加歓迎の回を東京都内近辺で開いています。毎月おなじ枠で開く定番の回があり、同じ会に続けて申し込めます。イベントごとに運営が入るので、はじめての人と続けて来ている人が混ざっていても、始まり方は同じです。




